夏休みはまず規則正しい生活を意識する
古くから、「夏を制する者が受験を制する」ということがよく言われてきました。受験勉強のための時間を多く作れる夏休みは受験生にとっては学力を上げる大きなチャンスだということでしょう。その反面、だらだらと過ごしてしまい生活のリズムを狂わせやすいという面もあります。そこで、夏休みは規則正しい生活を意識して朝は早起きをする、きちんと三食をとるなど生活のリズムを整えながら、その中に勉強の時間を組み込んでいくようにしたいものです。勉強については、塾でも夏期講習を行っておりたいていこれまで勉強した単元の総復習のカリキュラムが組まれているので、それを利用していただきたいと思います。ただし、夏休みをどのように過ごせばいいかは学年ごとに違うところがあります。
4年の夏は勉強の習慣を崩さないことが大事
4年生の場合は、6週間ある夏休みのうち夏期講習の期間はだいたい2週間から多くて3週間ぐらいで、それ以外の日のほうが多いだけにそこであまり遊び癖をつけないように気をつけたいものです。4年生の夏休み前というのは塾通いによってようやく勉強の習慣がつき始めたところで、夏休みもそれを継続させることが大事です。そうしないと9月からの勉強に戻りづらくなります。勉強をやるときはしっかり勉強する、遊ぶときは思いっきり遊ぶというメリハリが大切です。塾の夏期講習の勉強だけでは実際に問題を解いたり書いて覚えたりする時間が少ないので、自分の手を動かして作業する時間をできるだけつくるようにしましょう。たとえば毎朝、朝食前に計算問題プリントを1枚やると決めるのもいいでしょう。Dayトレはそんなとき最適ですね。
併せて漢字の書き取りも毎日5つやるようにすれば、40日間で4年生までに習う漢字を全部おさらいできます。これを学校のある時に始めるとなると大変ですが、夏休みであれば始めやすいでしょう。社会であれば、これは別に朝でなくてかまいませんが、1枚目の白地図には都道府県と県庁所在地、2枚目には山と山地・山脈、3枚目には川と平野というふうに、白地図を何枚も仕上げてみるといいでしょう。
理科では、植物や昆虫などの観察をして記録をつけてみるのもいいでしょう。虫を飼ったりすると、結局死なせてしまうかもしれませんが、それも子どもにとっては貴重な経験です。また、ご家族で旅行に出かけたり帰省をしたりする際に自然に親しむという体験も勉強のプラスになります。たとえば田舎で都会では見られない満天の星空を見て感動して星座に興味を持つということがあれば、9月からの勉強も楽しくなってくるものです。
読書もぜひしたいものです。これまで長いものを読んだことがないというお子さんだと読み切る自信がないので、どうしても短いものばかり選ぶ傾向がありますが、時間がたっぷりある夏休みはそれを克服するチャンスです。やさしめの内容でいいので、少し長めのものを選んで与えましょう。やさしい本でも最後まで読めたという達成感を持つことができれば、子どもは自信を得ることができます。
5年の夏は本格的な受験勉強に備え足腰を鍛える
5年の夏休みの過ごし方も、基本的には4年と同じと考えていいと思います。ただ、受験までのスケジュールを考えると5年生の夏期講習の位置づけは非常に大きなものがあります。5年の秋からの塾の勉強は中学入試で重要になる内容が目白押しで、質も量も非常にハードになります。これをこなすには体力も気力も必要で、そのための準備をするのが5年の夏期講習なのです。5年の夏期講習は目先のことにとらわれず、テストの点数などにはあまりこだわらず、勉強の足腰を鍛えることにじっくり取り組んでほしいと思います。
そういう点で、この時期に大事な勉強と考えるのが国語の長文読解と記述です。5年の夏休みは、心情を読み取るとかテーマを読み取るということを100字程度の文章で書く記述の練習にぜひ取り組みましょう。こうした力を伸ばす勉強はあまり早すぎてもダメで、5年の夏ぐらいからがちょうどよい時期なのです。そして、この時期に4教科の要となる国語力を鍛えることは他の科目を勉強する援護射撃になります。また、夏期講習に沿って復習をするだけでなく、その歩みを少し止めてでもこれまでの勉強で気になっているテーマに絞って勉強して自信をつけるということも必要です。たとえば算数の割合を徹底的に勉強して、割合の問題なら絶対にできると思えるぐらいにするのです。
6年の夏は弱点対策を重点的にやる
6年生は、どこの塾でも7月までにカリキュラムが一通り終わり、夏期講習は総復習になります。9月以降は過去問に取り組むなど自分の志望校対策に絞り込むため、まず問題に挑戦してできるかできないか確認する演習形式の授業に変わり、そういう展開を有利にするための最後のおさらいの時間といえます。6年の夏休みの勉強が夏期講習一辺倒になるのはやむを得ないでしょう。それ以外の勉強はあれもこれもやって中途半端になるより、自分の弱点や志望校の入試で多く出題されそうな内容を重点的にやるべきです。
自分の弱点や志望校対策で重要な点を知るには、これまでやった模試などを見直し間違った箇所やできなかった箇所をもう一度やり直しましょう。また、やり直したい単元やよく理解していない単元を紙に書き出しそれをもとに何をやるか毎日の計画を立てて取り組むようにするといいでしょう。夏休み前に立派な計画を立てる受験生もいますが(親御さんが立てさせるケースが多いと思いますが)、たいていそのとおりにはいかず、それが本人の負い目や挫折感になってしまいます。それよりは毎日寝る前にでも明日やろうと思うことを思いつくまま書き出し、それを翌日1つ1つこなしていくぐらいのゆるやかなメモ書き計画がいいでしょう。「読書の本を10ページ読む」とか、「暑中見舞いを書く」とか、やろうと思うことを何でも書き出し、その中に「算数の問題集○ページから○ページまでやる」といった勉強の計画も書き加えるのです。
そして朝起きたらやる順番に番号をふり、1つやり終えるごとに横線を引いて消していくようにすれば1つ1つ消していくごとに達成感を得ることができます。また、今日やり残してしまったことは明日の予定に優先的に書き込むようにします。すると、横線で消されたメモ紙を見ながら今日一日の充実感が湧いてきますし次にやるべきことも頭の中で明確になります。こうした習慣をつけていくと、常に問題意識を持って勉強に取り組めるようになり、自分から勉強していく姿勢が育ってきます。
プレイスでは、自習時もどの科目のどの分野を何時までにやるというように目標をたてそれを実行させています。夏休みはサクセスロードという名の学習計画表を立て、各科目の弱点を補強していきます。これらの一つ一つの小さな目標のクリアーが半年後の志望校合格という大きな目標を達成することになります。自分のペースでやることが大切です。他(他の生徒の学習内容、他塾生のカリキュラム、他の子の成績など)を見ると自分のペースが落ちます。目標は他の生徒との競争ではなく志望する中学校に入ることができるかです。
夏休みの実体験が9月からの勉強を生き生きさせる
夏休みは、やったことのないことにチャレンジしてみるチャンスではないかと思います。このチャレンジは、6年は別として、4年5年の場合であれば、楽しいからやるという気軽な気持ちでやってみて、うまくいかなかったら今度は別なやり方で、というようなことでいいのではないでしょうか。こうした夏休みの実体験はお子さんを生き生きとさせ、9月以降の勉強に必ず生かされるはずです。夏休みは子どもにとって大きな成長ができるときで、その成長こそがこの先にある合格の礎になっていくのです。